【ジャンル】 伝説
【カテゴリ】 大蛇
【 地 図 】 福井県敦賀市池河内
【其の他 】

福井県自然環境保全地域
県指定鳥獣保護区特別保護地区

関連⇒諏訪神社

【 概 要 】
其の一.
当区の口碑によれば、阿原池と称する大なる池に、大蛇棲息して、常に区民に害を被らしめたので、人々恐怖の余り社地を設け、殿堂を建ててここに大蛇の精を封じた 。

其の二.
当区の諏訪池に棲む大蛇が、南条郡夜叉ヶ池の大蛇を訪ねし時に、この池に生ずる虎斑竹を杖にして行きしに、遂に忘れて帰った それがかの地に生育したのが、夜叉竹であると伝えている。

其の三.
池の河内の阿原池の大蛇と南条郡夜叉ヶ池の大蛇とは夫婦である。

其の四.
池の河内の阿原池には大蛇が棲んでいたが、夜叉ヶ池の大蛇に嫁いでいった。
子供も生まれ家族で静かに暮していたが、その内夜叉ヶ池が懐かしくなった。
夫が留守にしているある日、子供を連れて里帰りしたが、そこにはたくさんの菖蒲が生えていた。
しかし大蛇の目にはそれが無数の剣に映り、「ああ、もうここは私の棲む所ではないのだ。」と夜叉ヶ池に引き返した。

『敦賀郡神社誌』、『越前若狭の伝説』、『敦賀の民話民謡』、『敦賀の昔話』から要約

【 雑 感 】
池河内のに残る伝説です。

池河内は他の集落から隔たっており、この阿原池は集落からさらに数百メートル離れた場所にある。
この阿原池(阿原ヶ池、諏訪池とも言う)は池というより湿地帯で、笙の川の源流となっている。
池には散策路があるが、途中から草の茂りようが半端なく、途中で引き返した。

人間の娘が大蛇に嫁入りするという話は良く聞くが、大蛇が他の大蛇に嫁ぐと言う話は珍しいと思う。
しかも相手は夜叉ヶ池の大蛇。
夜叉ヶ池の伝説は上で述べたパターンで、雨を降らせるため村人が大蛇に自分の娘を嫁にやると言う伝説。
そう、夜叉ヶ池の伝説では人間の嫁をもらっているのである。

しかしこの伝説には続きがある。実は夜叉ヶ池には大蛇の先妻(雌蛇)がおり、後妻(人間の嫁)と折りが良くなかった。
後妻は武士に先妻を退治してくれるよう頼む。そして先妻は無事退治されて、めでたし、めでたし。。。

まさか、この討たれた方って阿原池の大蛇のことじゃないよね?

 

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