【 概 要 】
其の一.
当区の口碑によれば、阿原池と称する大なる池に、大蛇棲息して、常に区民に害を被らしめたので、人々恐怖の余り社地を設け、殿堂を建ててここに大蛇の精を封じた
。
其の二.
当区の諏訪池に棲む大蛇が、南条郡夜叉ヶ池の大蛇を訪ねし時に、この池に生ずる虎斑竹を杖にして行きしに、遂に忘れて帰った それがかの地に生育したのが、夜叉竹であると伝えている。
其の三.
池の河内の阿原池の大蛇と南条郡夜叉ヶ池の大蛇とは夫婦である。
其の四.
池の河内の阿原池には大蛇が棲んでいたが、夜叉ヶ池の大蛇に嫁いでいった。
子供も生まれ家族で静かに暮していたが、その内夜叉ヶ池が懐かしくなった。
夫が留守にしているある日、子供を連れて里帰りしたが、そこにはたくさんの菖蒲が生えていた。
しかし大蛇の目にはそれが無数の剣に映り、「ああ、もうここは私の棲む所ではないのだ。」と夜叉ヶ池に引き返した。
『敦賀郡神社誌』、『越前若狭の伝説』、『敦賀の民話民謡』、『敦賀の昔話』から要約
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